第3回「理想のフライラインに出会うために」 

2010.5.7 Update
今回は前回に続き2番目の要素・コーティング、特にシンキングラインのコーティングについてお話ししたい。

フライ開発日記

水面に浮くフローティングラインに対し水中に沈むラインをシンキングラインと呼ぶ。それらはその沈下速度(Sink Rate)によってタイプIIとかタイプVなどと区分けされていう。このシンクレートは一秒間に何インチ(1インチ=2.54cm)沈むかを表している。タイプIIなら一秒間に約2インチ(=約5cm)沈み、タイプVなら一秒間に約5インチ(13cm)沈むというわけである。意外に知られていないことなので参考にしていただきたい。さてそれらのシンキングラインのうち、まずは最も沈下速度の遅いインターミディエイトについて解説しよう。

インターミディエイト
いきなり余談から入るが、SAでは以前Wet Celというシンキングラインのシリーズがあり(現在はプロフェッショナルシンキングというシリーズ名に変更)、そのラインナップにインターミディエイトとタイプI、II、III、IVという5種類のシンクレートが存在した。インターミディエイトはその名の通りフローティングラインとシンキングラインの中間という意味合いである。ライン表示もフローティングが「F」、シンキングが「S」と表わされるのに対し、シンターミディエイトは「I」と表示し区別されている。しかしインターミディエイトとタイプIは実際の沈下速度がかなり近かかったため、ある年を境に統合され、「インターミディエイト/タイプI」と表記されるようになった。インターミディエイト/タイプIは最もシンクレートの低いシンキングラインと考えて良いだろう。

フライ開発日記

さてその現在のインターミディエイト(正確にはインターミディエイト/タイプI)だが実際のシンクレートはやはりタイプIと考えていただいた方が判りやすい。そのインターミディエイトだがここ最近、以前に比べ売れる本数が増えていることをご存じだろうか。以前はシンキングラインの定番シンクレートと言えばタイプIIだったのだが、近年はその座をインターミディエイトに譲っている。湖や止水の管理釣り場でインターミディエイトを使う方が増えているのである。その理由は明確ではないが、いくつか思いつくことを列記してみよう。あくまで個人的な思いつきなので皆さんにも考えてみていただきたいところだ。

・水質の改善による透明度のアップ。
トラウトの場合その目の構造から、泳いでいるタナより上を泳ぐ餌、フライは見つけやすいといわれている。透明度がアップしたことによりタナより上層でフライを引いても魚がフライを見つけやすくなったのでそれほど沈めなくても良くなった。

・フッシングプレッシャーによるリトリーブスピードの変化
フィッシングプレッシャーがアップしたり、急激な水温低下などコンディションンがタフになったりした場合、速く泳ぐフライを追わなくなることがある。高いシンクレートのラインでゆっくりリトリーブすると根掛りが多発することになる。その場合スローな沈下スピードのライン=インターミディエイトラインでのスローリトリーブが有効となる。

・ビーズヘッドフライの普及
ビーズヘッドの出現により速やかなフライの沈下が以前より可能になった。それによりライン自体をそれほど沈める必要がなくなった。

・フロロカーボンリーダーの出現
実はこれが一番大きい原因だと考えているのだが、フロロカーボンリーダーの出現はフライを沈める釣り方に想像以上の変化をもたらした。私の場合止水で釣りをする時はフライを浮かせる場合を除いてはほぼ100%フロロカーボンリーダーを使用している。ナイロンに比べ比重の高いフロロカーボンは水馴染みが良くそして感度が良い。ナイロンリーダー時代はキャストしてからリーダーが馴染むまで時間が掛るためラインを引っ張って表面張力を割ったりしたものだが、フロロカーボンリーダーを使うようになってからは手間を掛けなくても速やかなリーダー、フライの沈下が可能になった。

フライ開発日記

さて、コーティングという観点からインターミディエイトを見ると、フローティングに比べ耐久性に優れ、さらにラインテンションも得やすいという特性がある。だれしもが同じ番手のフローティングラインより投げやすく感じるはずだ。そのためランニングラインのコーティングに使われたり、ソルトウォーターでは水面用のラインとしてフローティングラインの代わりに使われたりすることもある。

(第3回目終わり)