「理想のフライラインに出会うために」~フライラインの3要素~  第1回

2010.3.15 Update
当社には日々釣りやタックルに関する様々な問い合わせが電話やメールを介して舞い込んでくる。その中でフライラインに関する質問の割合はかなり高い。フライフィッシングのタックルの中で最も重要かつ必要不可欠なフライラインは、ルアーや投げ釣り、船釣りなど他の釣りには見られない独特なツールである。本来釣りにおいてもっとも重要と思われているロッド(サオ)でさえフライフィッシングにおいてはフライラインの規格に沿ったものを選ばねばならない。この釣りはフライラインありきなのである。

フライフィッシングを始めたばかりの方にとってフライライン選びはかなりの難問であろう。いや長年の経験を持つ方にとっても数多くの種類の中から理想の一本を見つけるのは頭の痛い問題に違いない。ショップの店先には様々なブランドの多種多様な商品が並んでいて混沌としている状態である。
例えば「DT3Fの渓流用フライライン」を一本選ぶとしよう。当社が取り扱っている3M社のScientific Anglers(以下SA)のフライラインを取ってみても、J-ストリームDTT、ヤマメDTT、スープラ、プロフェッショナル、エアセル、マスタリーXPS、GPX等など、とてもここでは書ききれないほど多くあり、さらにそこに他社の商品が合わさるわけであるから選択肢が多すぎて店頭で呆然となってしまっても無理はない。なぜこんなに種類が数多くあるのか?本当にこんなに必要なのか?もしかしてメーカーの策略ではないのか?そんな疑問を持たれる方のためにここではフライラインの性能、特徴を決める3つの要素について解説してみたい。そのことが皆さんの理想のフライラインに出会えるための一助になれば、と思う。

スープラLDL

当社はここ何年か3M社に対し日本向け特注ラインの製作を数多く依頼し、販売してきた。ある意味市場を混沌とさせている原因の一つかもしれない。(すみません・・・)しかしそれらはすべて日本のフィールドにマッチしたより使いやすいフライラインを求めた結果である。その経験をもとにフライラインを特徴づける3つの要素について説明したい。
その3要素とはすなわち、
1.テーパー
2.コーティング
3.コア
である。この3つの要素を観点としフライラインを注意深く見ていくことによってそのフライラインが開発された意図やその製品が持つ特性が自ずと見えてくるようになる。それではこれらを個別に解説していこう。

1.テーパー
これを読んでいる方はダブルテーパー(DT)やウェイトフォワード(WF)というテーパーの種類に関してはすでにご存知かと思う。さてWFラインを例にとった場合、先端(リーダーを結ぶ側)から順に、①ティップ、②フロントテーパー、③ベリー、④リアテーパー、⑤ランニングラインの5つのセクションで一般には構成されている。これらをどんな比率で、どういった太さ(径)でデザインするかがフライラインを開発するために最も重要でかつ難しい部分である。これをテーパーデザインと呼んでいる。それぞれのセクションについてはフライフィッシャー誌4月号p90に詳しい説明があるのでそちらを参考にされたい。


さて、近年では異なるテーパーが複合した「コンパウンドテーパー」といったより複雑な構造をもつラインも出現している。「マスタリー・エキスパートディスタンス」にいたっては究極のロングディンスタンス性を求めランニングラインまでテーパーしている次第である。かくも複雑なテーパーデザイン。しかしあえて言おう。最も重要なのは各セクションのバランスであると。「繊細」か「パワフル」、「手返しの良さ」か「操作性」。テーパーデザインの意図するところは大まかにいえばこのような分け方が出来るだろう。

エキスパートディスタンス

フィッシング部 中峰 健児